2012年7月2日月曜日

朝会校長講話(7/2)


          認め合い高め合う,ウサギとカメ


 みなさんは,イソップ物語の「ウサギとカメ」の話を知っていますね。
 あの物語は,足の速いウサギと足の遅いカメが山のふもとまで駆けっこし,ウサギが足の速さを生かして引き離し,ここまで来れば一安心と,油断してつい居眠りをしてしまい,カメに追い越されて負けてしまうお話です。 今日は,ちょっと違った「ウサギとカメ」のお話をします。
 昔々,あるところに,ウサギとカメが仲良く暮らしていました。ある日,どちらからともなく駆けっこの競争をしたくなりました。ウサギは,自分が足が速いことを知っていましたが,どれだけ速いか比べてみたいと思っていました。カメは,自分が足が遅いことを知ってはいましたが,どれだけ遅いのか比べてみたことがありませんでした。
 そこで,ずーと向こうの山のふもとまで競争をしようということにしました。「よーいドン」ウサギとカメは同時にスタートしました。ウサギは,自分の足の速さを生かして,脇目もふらずにゴールをめざして走っていきました。イソップ物語のようなウサギではないので途中ひと休みもしないで,ゴールして,カメのゴールするのを待ちました。
 すると,カメは息を切らしながら,
「ウサギさんはやっぱり速いね。スタートからあっという間に見えなくなっちゃった。途中の道ばたにいたお地蔵さんのところでやめようかと思ったんだけど,お地蔵さんが「頑張れ,頑張れ」と励ましているような気がしたので,走り続けたんだよ。でもやっぱり茶店のところや郵便ポストのところでつらくなって何度も走るのをやめようと思ったんだけど頑張ってゴールしたんだよ。本当にウサギさんは速いね。」
 と,それを聞いたウサギは,
「僕は足には自信があったからゴールをめざして一生懸命に走ったんだよ。でも,途中にお地蔵さんや茶店や郵便ポストがあったなんて全然気がつかなかった。カメさんは,いろいろな物を見ながら,努力しているんだね。これからも教えてね。」
 と,ウサギとカメは,お互いを認め合うことにより,自分の得意なものや不得意なものに気付き,自信をもちながら,前よりも仲良く暮らしました。
 とさ,おしまい。